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191年11日~15日『ペティの子守り、してやっとくれ』



11日。
そろそろ起きてペティにミルクをやろうかと思ってた矢先に、その報せは届いた。


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……アモスが、危篤……

……隣のエルを見遣ってみると、何かを堪えるような、無理矢理抑え込んでるような顔して、ジッと天井を見詰めてた。

「……分かってたのかい、オマエ」
「……へェ。つい最近、もう長かぁねぇかも知れねぇと、親父から告げられておりやした」
「なんでアタシに教えてくれなかった?」
「折角、ペティが産まれて毎日幸せそうに笑っていなさるんだ。そこにわざわざ湿っぽい話を持ち込むのァ、野暮ってもんでござんしょう」
「妙なところで下手な気ぃ遣うのは、オマエの悪いところだよ。……幸せも不幸せも、一緒に背負ってくって夫婦になった時に誓っただろ」
「……それも、そうだぁなァ。……申し訳ござんせん、姐さん」

大体、当日になってイキナリ知らされる方が、よっぽど心臓に悪いってンだよ。
……ペティにミルクやって朝飯食ったら、急いで見舞いにいかないとね。



「親父、親父……! おいらだ、エルナンドだ。……判るかェ?」

実家に戻ってすぐ、エルはベッドに横になってるアモスに駆け寄って行って、その肩を揺すった。
少し間を置いて薄目を開けたアモスが、エルの顔を見て僅かに口角を上げる。


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「……エルナンド……来たのか……」
「あァ、来たぞ! 親父、寒かぁねぇかィ? すっかり身体ぁ冷えちまってるじゃあねぇか……!」
「大丈夫だよ。……ペティは、元気にしてるか?」
「あぁ元気だぜ! 毎日少ぉしずつ目方が増えてるみてぇだしよゥ、健康そのものだァ」
「そうか、良かった……。お前は赤ン坊の頃、それは病弱で……いつも熱を出しちゃあ吐いたりなんかしてて……その度に母さんと2人で、教会にお祈りしに行ってたもんだ。……お前に似ずに、強健そうな子で良かった……」

……初耳だ。エルが、赤ン坊の頃そんなに身体が弱かったなんて……。
今のコイツからは微塵も想像付かないよ。……アモスとミニーの祈りは、充分すぎるくらい聞き届けられたってコトだね。

「……エルナンド」
「うん? なんだェ?」
「後のことは……頼んだぞ。……元から家族思いなお前に、今更言わなくてもいいことだけど……母さんのこと、ワレリーと一緒に支えてやってくれ」
「てッ! 本当だぁなァ、言われるまでもねぇや。……なぁんも心配いらねぇよ。だから安心しねェ、親父」
「ああ……ありがとう」

アモスは満足そうに微笑んでる。
エルのコトだ、きっと大泣きするもんだろうと思ってたんだけど……
目は充血してるものの、涙は浮かんでなんかいなかった。
……アモスを安心させる為に、気張って無理してんのかもしれないね。



「キリエちゃん」

隣の部屋に向かうエルに付いていこうとして、不意にアモスに呼び止められた。
もう一度傍に寄って行って、アモスの言葉に耳を傾ける。


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「9日の、ことなんだけど」
「9日?」
「そう、9日。……結婚記念日だっていうのに、エルナンドがいなかったせいで……ちゃんと祝えなかったらしいね」
「あぁ、まぁそういうコトもあったねぇ。だけど、それがどうしたってんだい?」
「そんなことになってしまったのは、僕のせいなんだ」
「……は?」
「僕がエルナンドに、別れが近付いてる……って切り出したのは、8日の夜のことでね……。それを聞いたあの子が、何か食いたい物とかないかって訊いてきたもんだから……適当に、フギ料理……なんて、答えちゃって。……釣りに出掛けたっきり帰って来なかったのは、多分そのせいなんだ」
「………」


……エルは……

……だからエルは、アモスの希望を叶える為に、あの日魚釣りに行ってた……?


……アタシは、

そんなエルの気持ちなんてこれっぽっちも知らないで、しょうもないコトで腹立てて……


……馬鹿だ。

本当に、大馬鹿だよ、アタシってヤツは。


「……ごめんな、キリエちゃん」
「……オマエが謝るこたないよ。それに、結婚記念日なんてこれから先いくらでも祝えるんだからさ」
「はは……そうだな」


謝らなきゃいけないのは、アタシの方だ――。







隣の部屋に移動して、静かにエルの隣に座る。
ワレリーは、エルの膝の上に乗っかって、次から次に溢れてくる涙をどうにかして止めようと必死になってるみたいだった。


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「ワレリー、無理に我慢なんてするこたぁねぇよ。最期の最期に笑って見送ってやれりゃあそれでいいんでェ。……だからよ、今の内に存分に泣いておきねェ」
「うっ……、うああぁぁ……!」

泣きたいのは、オマエだって同じだろ? エル……。
……ミニーとワレリーの手前、泣くわけにはいかないってコトかい。……人一倍涙脆いクセに、さ……。

「……エル、オマエ、ここ数日アモスの為に魚釣りしてたんだってね。……だから9日も、朝から……」
「! ……余計なこたぁ言うなって釘ぃ刺しといたのによゥ」
「余計なコトじゃないだろ。それならそうと、言ってくれりゃ……、そうすりゃ、アタシだって何にも知らずにオマエのコト責めたりなんかしなかったのに……」
「すいやせん、姐さん。……姐さんに心配掛けめぇと黙ってたことが、裏目に出ちまったなァ……」
「アタシこそ、オマエの気持ちも知らずに……ほんと、ゴメン」

テーブルに視線を落としながら呟くように謝ると、やんわりと肩を抱かれた。
顔を上げてみると、エルの柔らかな笑顔が視界に飛び込んでくる。

「なんつぅか、こうっと……想い想われてるってぇのァ、こういうのを言うんでござんしょうねェ。今言うような台詞じゃあござんせんが、おいらぁ本当に幸せモンだァ」


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「なァ、姐さん。明日また2人でよゥ、どこか出掛けやしょうや」
「……うん。どこでもオマエの好きなトコ、付き合うよ」
「へへッ、楽しみだァ♪」

オマエの悲しみが少しでも癒せるなら、どこへだって付き合う。
……こないだカイルが死んだ後、オマエがそうしてアタシを元気付けてくれようとしたみたいにさ。


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エルの胸に取り縋って泣いてたワレリーも、1刻ほど経てばだいぶ落ち着いたようだった。
今はエルの膝から下りて、アタシとミニーの間にちょこんと座ってる。

「……ワレリー。寂しくなったらいつでもうちに遊びに来な。ペティの子守り、してやっとくれ」
「……ん。……おこづかい、たまったらね。ペティちゃんに、いむぐるみかってあげるの」
「そうか……ありがとうな。お礼にプリン、たくさん作ってやるよ」
「ん! えへへ……」

目も鼻の頭も泣いて真っ赤になってるけど、どうにか笑顔が戻ってくれて良かったよ。


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「……もう少し、一緒にいられるかと思ってたんだけれど。……仕方ないわね、こればっかりは……神様の思し召しだものね」
「……全部神サマってヤツの気紛れひとつで決まるってかい。胸糞悪いねぇ……アタシらにはどうしようも出来ないコトだから、余計に胸糞悪いよ」
「こらこら、そんなこと言わないの」
「……ミニー」
「なに?」
「今度、さ。……シトラタルトの作り方、教えてもらいに来てもいいかい?」
「……ええ、勿論よ。いつでもいらっしゃい」





そして、


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アモスは覚めない眠りについた。

結局、ミニーは最後まで涙を見せなかった。
……強いね。流石はエルの母親だ。




隣の部屋で椅子に腰掛けたままのエルの額に、キスを贈る。


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離れようとしたところで、エルに右腕を引かれてそのまま……今度はアタシが、唇にキスされた。

「やっぱしこっちのが、元気が出まさァ」
「……ばぁか」

言葉とは裏腹に、アタシの方からももう一度、エルの唇を塞ぎにいく。
温みと同じで、悲しみや辛さも2人で平等に分けられればいい。……そう思いながら。








そうだ、今日はアントワーヌとフェリクスんトコのレオノールの、1歳の誕生日だったっけ。
葬儀までまだ時間あるし、顔を見に行こう。


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これはまた、端正な顔立ちの子だねぇ。アントワーヌ……いや、どっちかっていうと面差しはフェリクスに似てるか。

「誕生日おめでとう、レオノール」
「ありがと」
「うちとは家も近いし、たまにペティと遊びに来てやっとくれよ」
「うん。わかった」

中身はどうやらアントワーヌ似のようだね。無表情なところもさ。








夕方。
アモスの旅立ちを、みんなで見送った。


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「お集まり頂いた皆々様にゃあ、心から御礼申し上げやす。親父も……アモスも、さぞかし喜んでいることでござんしょう」

エルのよく通る声が、墓地に響く。
背筋をシャンと伸ばして滞りなく挨拶して、エルは最後に深々と礼をしていた。

……立派だったよ、エル。
これならアモスも、きっと満足してるだろうさ。


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「エル、お疲れ様」
「姐さんも、親父のことぉ最後まで見送って下すって、ありがとうごぜぇやした」
「アタシの義理の父親なんだ、当然だろ」
「へへッ、そうでござんすね。……姐さんは、今から闘技場へゆきなさるんで?」
「まぁね。今夜の試合にはマルチナが出るからね。一応兄嫁だし、応援してやらないと、さ」
「そんならおいらァ、一足お先に帰ぇってペティの世話をしておりやす」
「ああ、頼むよ」

……アタシのいない間に、好きなだけ泣くといいよ、エル。
コイツのコトだ。アタシの前じゃきっと、意地でも泣かないだろうからね……。








さあ、気分を変えて、試合観戦といこうじゃないか。


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マルチナの相手はアチェロか。相性的には、マルチナの方が有利だけど……さて、どうなるかね?


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決定的な点差はないものの、今のところマルチナがリードしてる。
だけどこのくらいの差なら、大技でも一発入っちまえば簡単に覆りそうだ。
もっと差を広げるか、巧いコト相手の攻撃を避けるか防ぐかしないと、ちょっと危ないかもしれないね。


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ギリギリの3点差で、マルチナが勝った。
ふぅ、結構ハラハラさせられたよ。これだから決定戦は面白いんだけどね。
まだ始まったばっかりだからなんとも言えないトコだけど、このまま勇者の座を勝ち取ってほしいもんだよ。








試合を観終わって家に帰ると、エルはペティと一緒に、先に眠ってた。


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……頬に、涙の痕が残ってる……。
……エル、今日は頑張ったね。偉かったよ。
ゆっくり休んで疲れも悲しみも癒して、また明日、いつもの明るい笑顔をアタシに見せとくれ……。











12日。
今日は夏至だし、まだ気落ちしてるかもしれないエルの為にフギの燻製でも作ってやろうと早起きした。……けど、

「おはようごぜぇやす、姐さん! 今日はいつもより早起きでござんすねェ♪」

キッチンにはもうエルが立ってて、朝飯を作ってるトコだった。

「今日は夏至でごぜぇやすからね! フギを燻製にしてるとこなんでさァ! もう少しで出来上がりやすんで、姐さんは座って待ってておくんなせぇよ!」
「……あぁ、分かったよ」
「活きのいいフギでござんしたから、きっと美味ぇ筈でさァ!」

少し、心配してたけど。
どうやら要らない心配だったようだね。……ホッとしたよ。


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「……うん、美味い。アタシが作らなくって正解だったね」
「来年は姐さんが作ってくだせェ♪ おいらぁ楽しみにしておりやすんで♪」
「……来年はペティも一緒に食うだろうし、クソ不味い燻製なんて食卓に出せないよ」
「そんならおいらもお手伝いしやす♪ 2人で美味ぇ燻製作ってよゥ、ペティに食わせてやりやしょうぜ♪」

む……まぁ、エルと一緒に作るんなら、少なくとも失敗作(生ゴミ)になるのは回避出来そうだし……。

「それじゃあ、そうしようかね。ちゃんと覚えといとくれよ?」
「へィ♪ 姐さんとの約束ァ、おいらぁ絶対に忘れやせん!」

って、ひょっとしたらアタシの方がうっかり忘れちまうかもしれないよねぇ。
まぁそン時は、エルが思い出させてくれるだろうさ。






「じゃあ、ちょっと出掛けてくるからね。いい子にしてるんだよ」
「ふぁ、あ~ぅ♪」


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ペティの柔らかな頬っぺたにキスをして、枕元にラダぐるみを置いてやる。
大きいぬいぐるみの方が、少しは安心感も増すんじゃないかと思ってね。

「だけど、だいぶ古ぼけてきたね……。帰りに新しいヤツ、買ってきてやろうかね」
「ん~」
「ん? ……なんだ、オマエはソイツのがいいってのかい?」
「ぷぅ」
「フフ、お気に入りなんだねぇ」

そういうコトならもう少しだけ、新調しないでおくとするか。








アモスの墓参りも兼ねて、エルと墓地へ出掛けた。
今頃アモスは、あの世からアタシたちのコトを見守ってくれてるんだろうね……。

「姐さんは今、幸せでござんすかィ?」


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「なんだい、藪から棒に? ……幸せに決まってるだろ、勿論」
「へへッ、そいつぁ良うござんした♪」
「オマエは? どうなんだい?」
「おいらも毎ぇ日、幸せでござんすよ♪ ……こうして今、いつも通り元気にしていられんのァ、姐さんやペティのお蔭でごぜぇやす。しっかり感謝しなけりゃあいけねぇなァ」
「……アタシだって、辛い時はいつもオマエに支えてもらってたよ。……感謝してるよ、エル」

辛い時にお互いを支え合うのが夫婦ってモンだ。
それを真っ先に教えてくれたのは、他でもない、オマエなんだよ、エル。

「今日も、いい天気だね」
「へェ、雲一つねぇ快晴だァ。これならあの世からもこっちの様子がよぅく見えてることでござんしょう」
「そうだね」

明日もきっと、晴天だ。








エルとのデートの後は、一旦家に帰ってペティの面倒を見て、夕方からまた魚釣りに出掛けた。


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こないだとは打って変わって、今日はフギがよく釣れる。
時期的なものも関係してんのかね……? まぁ何にせよ、美味そうなフギが大漁でいい気分だ。
もう1匹釣れたら、今日はもう切り上げようかね。

「……っと、おお? なんか、やたら引いてるね……!?」

なんだい、この重さは……!?
フギにしちゃ、あんまり重すぎるし……っ、とにかく、掛かった獲物は逃すつもりはないよ! 観念して釣られな!


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「おらぁっ!!!」

思いっ切り踏ん張って釣り上げた魚は、
これまた立派な、大きなフィンだった。どんだけ餌を食えばここまでデカく育つんだい……。

「エルが見たら、きっと驚くね」

そんでもって食い応えがあるって喜んでくれそうだ。明日の朝飯は、コイツで決まりだね。











13日。
昨日アタシが釣ったデカいフィンは、エルがムニエルにしてくれた。
……ただ焼くだけだろうと思ってたのに、ムニエルなんてシャレた料理になるなんてね……。
エルの料理の腕が着実に上がっていってて、なんとなく焦りを感じちまうよ……。


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「ッカーーー!!! うんめぇなァ!!! 姐さんのお蔭でこんな美味ぇ飯が食えて、おいらぁ今日も幸せだァ!」

……ま、コイツがこんなに喜んでくれてるんなら、釣ってきた甲斐があったってもんさね。





朝飯を済ませて出掛ける用意をしてたら、急にエルが後ろから抱き付いてきた。

「ん? なんだい、エr……、ちょ、なんか、あt」
「あーねさん♪」


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「随分とご無沙汰でござんしたから、おいらぁそろそろ我慢が効かなくなっちまいやして♪」
「だ、だけど、まだ昼にもなってない、」
「陸み合うのに朝も昼も関係無ぇやなァ。まぁ姐さんが嫌だって仰るんなら、無理矢理にでも我慢しやすがね?」
「~~っっ! っとに、しょうがないヤツだよっ……!」
「へへッ♪」

……やっぱり、どうしてもコイツには甘いんだよねぇ……アタシってヤツは。








なかなか離れようとしないエルを引っぺがして、アタシはエイプリルとファンの家に向かった。
朝の報せで、赤ン坊が産まれそうだって聞いてたからね。出産祝いに行こうと思ってたんだよ。


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産まれたのは男の子。プジョールって名前にしたらしい。
母親のエイプリルと同じ、綺麗な黒髪だね。よく笑う、可愛い子だ。

「おめでとう、エイプリル。よく頑張ったね」
「うん、ありがと。あんまり痛くて死んじゃうかと思ったわ」
「まぁ確かに、出産の痛みってのは凄まじいよねぇ……。アタシはもう経験するつもりはないよ」
「あたしも、この子だけで充分かなって思うけど……ファンがもう1人ほしいって言うなら、頑張ってあげてもいいわよ?」
「えっ? あ、その……、て、照れるよ……」
「すぐ真っ赤になっちゃうんだから。……ふふふ」

ファンが照れ屋なのは相変わらずだけど、エイプリルは前に比べて少し性格が柔らかくなった気がするね。
……さて、邪魔にならない内に退散するか。








昼は久々に、果樹園に果物を採りに行った。


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ここはいつでも、美味そうなベルカやシトラがたわわに実ってる。今日はベルカを多めに採って帰ろう。
小さな実はジャムにするとして、大きな実じゃ何を作ろうかね? ベルカタルトか、コンポートか……
……いや、より成功率が高い物を選ぶなら、フルーツボウルが無難かね……。シトラと一緒に適当に切ってシロップに浸すだけ……みたいだし。








帰る前に、ちょっと酒場に寄って行こう。
美味そうなバターポトがたくさん並んでるね。数は少ないけど、コロッケもあるよ。


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……よし、決めた。今日はコロッケで一杯やろう。エールと一緒に持ち帰って晩酌だ。









先にペティを寝かし付けて、買ってきたコロッケとエールをテーブルの上に置いた。
前に比べて酒は進まなくなっちまってるけど、1本ぐらいなら全然余裕だ。

「それじゃ、いただきまs」
「たでぇま帰ぇりやしたァ!」
「……っと。おかえり、エル」
「おッ、美味そうなコロッケでござんすねェ!」
「だろ? オマエも一緒に食うかい?」
「それも悪かぁありやせんがねェ。おいらぁどっちかってぇと、」


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「姐さんのが食いてぇなァ♪」
「なっ、ば、ばかっ! 今はそんな話してないだろ! ていうか今日はもう、」
「朝は朝、夜は夜、で、ごぜぇやすぜ♪」
「うぅっ……!」
「さッ! そうと決まりゃあ、ベッドにゆきゃあしょうか、姐さん♪」
「うぅぅ~~っ!」

ア、アタシは晩酌がしたいんだよっ……! なんでコイツ、こういう時だけ強引なんだい……!?
……手を振り解けない、アタシもアタシだけどさ……ったく……。











……で。
結局、気付いたらいつの間にか眠ってて(気絶してたって言った方がいいかもしれない)、目ぇ覚ましたらもう朝になってた。


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「お、目ぇ覚ましなすったかェ。 おはようごぜぇやす♪」
「……ったく、なんでオマエは朝っぱらからそんなに元気でいられんだい……」
「元気がおいらの取り柄でござんすからねェ。今日も愛しておりやすぜ、姐さん♪」
「あぁもう分かったから、顔中にキスすんのはやめっ……て、またドコ触ってんだいこのばか!」
「あいてッ」

この元気が良すぎるのをなんとかしないとね……。
取り敢えず、イムの根でも5、6個持たせて訓練にでも行かせるかねぇ?








今日は特に予定もないし、釣りって気分でもないから適当にブラブラ散歩する。
劇場の前に差し掛かったところで、ジェレマイアに声を掛けられた。


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「おはよう、キリエさん。さんぽ?」
「まぁね。そういうオマエは何してんだい? こんな早くからもう学校に行くのかい?」
「いや、がっこうにいくまえに、すこしキノコをとりにいこうかなって」
「キノコ? なんでまた?」
「かあさまが、きょうのあさごはんのぶんでキノコがぜんぶなくなったっていってたから。ぼくもたべさせてもらってるんだし、このくらいはてつだわないとね」
「へぇ……。感心なコトだねぇ」

コイツはほんと、いい意味で年相応じゃないっていうか……。
しっかりしてんのはいいコトだけど、ちゃんと友達と遊んだりなんかもしてんのかねぇ。余計な世話かもしれないけどさ。








ラダとココイ、どっちを見に行こうか……なんて、考えながら歩いてたら、今度はヴィヴィアンに会った。
また一回り腹がデカくなったみたいだね。順調って証拠だろうし、何よりだよ。


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「よかったら明日、どこかお出掛けしない?」
「あぁ、いいね。明日も天気の心配はなさそうだし」
「何か軽い物でも作ってくるわね」
「それなら、是非ポトサンドをお願いしたいねぇ?」
「ふふ、分かったわ。ポトサンドね」

ヴィヴィアンの料理はどれも美味いけど、アタシは中でもポトサンドが気に入ってるんだ。ヴィヴィアンの作るポトサンドは、ポトが丁寧にマッシュしてあるから舌触りが凄く滑らかなんだよねぇ。








大通りの東側で、ワレリーの後ろ姿を見付けた。
そういや、アモスの葬式以来会ってなかったっけ。……ちゃんと元気、戻ってるといいんだけど。

「ワレリー」


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「あねさん! こんにちわー♪」

振り向いたワレリーは、アタシの姿を見るなり明るい笑顔で応えてくれた。
……どうやら大丈夫そうだね。安心したよ。

「どこに行くんだい?」
「せいれいのき! しーぽんにあいにいくんだよー♪」
「そうか。またティリグ探しでもするのかい?」
「ん! キレイなティリグをたくさんあつめたらね、しーぽんがめずらしいおハナのタネをくれるんだって! かだんにうえて、おかあちゃんにみせてあげるの」
「きっとミニーも喜ぶだろうさ。頑張ってたくさん集めなよ」
「ん!」

家族想いなところは、エルもワレリーも一緒だね。孝行息子が2人もいるミニーは幸せ者だ。








ジーンがハピィに連れられてハールの庭園から出てくるところを、偶然見掛けた。


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おーおー、あんなに引っ付いて……歩きにくくないのかねぇ?
ジーンのコトだ、ハピィが本命ってワケじゃないんだろうね。どうも色んな男に声掛けてるって話だし。
ヴァンやカイルから受け継いだ性分ってヤツだね。ま、ほっときゃそのうち誰かとしっかりくっ付くだろ。








ちょいと時間は早いけど、酒場で一杯引っ掛けていくことにした。


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出来立てのバターポトはホクホクしてて美味い。バターの塩気も絶妙だ。
こりゃ、エールが進むねぇ。……って言っても、今のアタシにゃ1本で充分だけど。
昔のアタシからは考えられない変化だよねぇ、ほんと。








酒場でのんびりしてたら、いつの間にかすっかり夜になっちまってた。
早いトコ帰って、ペティに添い寝してやらないとね。

「姐さーーーん!!!」


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「お帰りが遅ぇんで、お迎えに参ぇりやしたぜェ!」


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「あぁ、遅くなっちまって悪かったね。……迎えに来てくれて、ありがとう」

指先で合図して、エルを屈ませる。
満面の笑みを浮かべるエルの唇に、自分のソレを重ねた。

「……帰ろうか」
「へィ♪」

エルに手を引かれながら、ペティの待つ我が家へと家路を辿った。











15日。
エルは今日も相変わらず熱烈だ。


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「そんじゃあ、姐さん! おいらぁ畑に行ってきやすんで!」
「はいよ。真昼はまだ陽射しも強いし、気ぃつけるんだよ」
「へィ、気を付けやす♪」

まぁ、暑さ寒さにやられるようなヤワな男じゃないけどね。アタシだって、その……たまには嫁らしく、旦那のコト気遣ったりもするんだよ。一応。








昼はヴィヴィアンと、ラナンの橋まで出掛けた。
約束通り、ヴィヴィアンがポトサンドを作ってきてくれてる。


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「やっぱりオマエのポトサンドは美味いね」
「ありがとう♪ キリエちゃんに喜んでもらえて、作ってきた甲斐があったわ」
「こんな美味いモン食わせてもらって、喜ばないワケがないだろ」
「ふふ。……ところで、最近どう? ペティちゃんは元気にしてる?」
「お蔭さまで、元気一杯だよ。ミルクもたくさん飲むし、昼も夜もよく寝てるし。産まれた時と比べて、だいぶ体重も増えたねぇ」
「それは良かったわ♪ 1歳のお誕生日が楽しみね♪」
「そうだね、待ち遠しいよ」

早くペティと色んなコトを話したい。
あの子はどんな声で、どんな表情で話をするんだろう?
……想像するだけで、なんだか幸せな気分になっちまうよ。








ヴィヴィアンとの散歩から帰ったあと、暫くペティと一緒に昼寝して、夜になる前に闘技場へ出掛けた。


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今夜はマルチナの第二試合。対戦相手は闘士長のコルネーリオだ。
コイツは手強い相手だねぇ……。今回は相性もマルチナ側が不利だし、気ぃ引き締めてかからないとあっと言う間に決着が付いちまいそうだ。


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お互い相手の隙を伺ってるのか、あまり動きがない。技を撃ったとしても、2人とも巧いコト防御しちまうし、なかなかポイントが入らないね。
じれったい試合だ……って思ってたら、マルチナが大胆な攻撃に出た。至近距離からのドラゴンブレードだ、いくらコルネーリオでもそう易々とは避けられやしないし、防御もどうやらほんの僅かに間に合わなかったようだ。


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あの奥義を皮切りに、マルチナは後半積極的に技を叩き込んでコルネーリオを圧倒してた。
そして見事に圧勝だ。ほんと、昔と比べて見違えるほど強くなったよねぇ、マルチナもさ。
これは、勇者になるのも夢じゃないね。最後まで応援してるから、頑張りなよ。








家に帰ってゆったりしてると、エルからデートに誘われた。


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勿論、行くよ。他にするコトなんてないし、エルと夫婦水入らずで出掛けられるのは嬉しいし、ね。

「そんじゃあ、姐さん」
「ああ、おやすみ」
「の、前に、ちぃと身体を動かしやせんかィ♪」
「……ヤダ。毎日は身がもたない……って、コラッ、」
「あーねさん♪」
「~~っ! っとにオマエってヤツはぁぁ!!!」

何か、コイツをドッと疲れさせる作戦を本気で考えなけりゃ、アタシは本当にそのうち潰されちまうよ……!












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身近なNPCの旅立ちは、何回経験してもションモリしてしまいますね……(´・ω・`)
アモスさんにはまだまだ長生きしててほしかったなぁ……。せめてペティちゃんが1歳になるまでは……(ノД`)・゜・。

エイプリルちゃんのところにも第一子が産まれました!男の子だー!(∩´∀`)∩
プジョール君はどっちに似るのだろう。カラーリング的にはお母さんのエイプリルちゃんの遺伝子が勝ってますがww
1系も4系も我が国では何気に強い系統なので、どちらが勝つのか楽しみですな……ww


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コメント

身内の悲しい知らせは辛いですよね。

いつも更新ありがとうございます(●^o^●)

長年ククリア王国をやっていても身内とのお別れは辛いものです…。
せめて、初孫ペティちゃんが起き上がるまでは生きてて欲しかったですよね(´;ω;`)まだ小さい子がいると、特にそう思います。だんだん人口が増加傾向になってくると、20歳まで生きるのが難しくなってくるのかと。でも我儘ながら、自分の両親や身内はできるだけ長生きしてほしいとふと思う時があります。

エイプリルちゃんのところに男の子が誕生、おめでとうございます。
どちらでしょうね?1系か4系…どちらも美形ですよね。
両親が違う系統の顔ですと、産まれてくる子供がどちらなのか楽しみになります。
次はヴィヴィアンさんのところですよね?楽しみです☆

vitaで半額の時にダウンロードしてサブ国、やり直しなしの縛りの結果。
工芸家に嫁ぎ、現在7人家族で暮らしております(^v^)もう食材があっという間になくなる\(^o^)/ 旦那さんがアモスさんにそっくりなんですよ。ファルケの啓示を受け継いだ息子が誕生し、5b系と4c系のどちらに似るか楽しみです。

もうすぐ立春で暦では春になりますが、まだまだ寒い日が続きますので
カゴネコさまもお体に気を付けてください( ´Д`)ノ~


No title

クロッカスさま。いつもコメントありがとうございます!

本当に、近しいNPCが亡くなってしまうとションボリしてしまいますね……(´・ω・`)
1歳になったペティちゃんと、一緒に遊んでほしかったです(ノД`)・゜・。
システム的に仕方がないこととはいえ、20歳まで生きるのが難しい現状には寂しいものがあります(´;ω;`) キリエちゃんとエルナンド君は、いつまでペティちゃんと一緒にいてくれるのだろうかと、ふと不安になったりもします。。。

お祝いありがとうございます!(∩´∀`)∩♪ エイプリルちゃんも遂にお母さんになったんだなぁと、親戚のおばちゃんのような心境になりましたww
1系も4系も我が国では強い顔系統なので、どちらの遺伝子が勝つのかとワクワクしております(´∀`*)ウフフ
お次はヴィヴィアンちゃん!男の子でも女の子でも、ペティちゃんといい友達になってほしいです(*´艸`*)♪♪

クロッカスさまはvitaでサブ国をプレイされてるんですね!(*´∀`*)
子宝にとても恵まれていらっしゃるようで、何よりです(* >ω<*)♡ 人数多いとアイテム庫のお料理が、すぐスッカラカンになってしまいますよねぇww
旦那様はアモスお義父さん似のイケメンさんなのですね……!(*´Д`)ハァハァ←
ファルケを受け継ぐかどうかも運らしいので、ちゃんと受け継いだお子さんがいらっしゃるのなら将来は安泰ですね!( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ

今年ももう2月に突入しましたね、早いものです(ノ∀`)あっと言う間に春になるんだろうなぁ……。
クロッカスさまも、体調にはお気を付けて、元気に過ごされて下さいね(*^^*)♪

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